Life Itself

生活そのもの

2019/08/13

・ヨガをしていると、娘が邪魔をしにくるときがある。ヨガ中破普段はしないような体勢になっているのだから、見ていてそれは面白かろう。ダウンドッグをしていると、僕の頭に娘が頭をくっつけてきて、まるでラグビースクラムのように頭と頭で押し合うような状態になった。娘も力が強く、かかとが付いていない僕のダウンドッグだと、娘の押す力だけでバランスを崩してしまう。というのか、娘が頭を押し付けて来るのはとても面白く、とても集中できない。吹き出してしまう。それでまた娘はそれを遊びだと思って、何度もくりかえす。 朝だとそんな感じでもとりあえずヨガを続けなければならない。ダウンドッグ以外でも娘は僕の周りをウロウロとして、股の間を通ったり、僕の体で掴み立ちをしたりするから、その間、姿勢を維持しなければらなくなる。維持する姿勢によってはとても負荷がかかって、体中がプルプルしてくる。なんだかその状況に笑えてくる。で、娘はそれを見てさらに喜ぶわけだ。

・仕事が終わって、電車に乗ると、ある違和感を覚えた。馴染みのメロディーが聞こえてくるのである。なんだろうと思っていたら、「タケモトピアノ」というおじさんのセリフが聞こえてきたから、タケモトピアノのCMの曲であることがわかった。だが、福岡の地下鉄でなぜタケモトピアノのCMの曲が流れているのだろう。地下鉄にはCMが流れるようなディスプレイはないはずだ。

遠いような近いような場所で音は鳴っていて、しばらく、といっても数秒のことだが、どこから音が鳴っているのかわからなかった。次の瞬間、それは僕自身のポッケから鳴っているということに気づいた。つい最近、娘を泣き止ませるためにタケモトピアノの曲を流したばかりである。福岡の地下鉄の車内でタケモトピアノを流すのは僕以外に誰がいるだろう。おそるおそるポッケからスマホを取り出すと、やはり僕の携帯が勝手にYouTubeのアプリを開いていて、最後に見たタケモトピアノのCMの曲が流れていたのだ。とても恥ずかしくて、すぐに音量を下げてアプリそのものを消したが、顔を上げることができなくなった。 しばらくは恥ずかしかったが、途中からなんだか面白くなって笑いをこらえるのに必死だった。わざとではないとはいえ、電車の中で音を出すことはよくないことだ。僕だって、電車の中で着信音が鳴ると周りを見てしまう。しかし、タケモトピアノの曲が福岡の地下鉄で響いたというのは、とても面白いことなんじゃないか。なぜだかわからないが、小さい子どもを泣き止ませるタケモトピアノの曲。ピアノ売ってちょうだーい!そのとーり。女の人たちのへんな踊り。アプリを消したのに、CMのあの映像と曲が頭にこびりついて離れない。図らずも、福岡でタケモトピアノを宣伝してしまった。 いや、たった数秒だけとは言え、スピーカーで音を流してしまったことは本当に申し訳なく思っております。