Life Itself

生活そのもの

余興、終わり

平成31年4月28日。
 
結果から言えば、結婚式の余興はおそらく悪くない出来だった。その後の新郎新婦、友人、式に出席していたその他大勢の知らない人たちの反応、そして動画を見た妻の反応はとても良いものだった。
 
平成31年4月27日午後。打ち合わせは、式の2時間前に行われた。もちろんリハーサルをやる時間はなく、ぶつけ本番となる。僕を含めて余興をやるのは3人のみ。先に僕以外の2人がヒゲダンスをして、その後大きなダンボールに隠された僕が台車に載せられて、ダンボールをぶち破って「イェーイ」という流れとなった。僕としては、ただネタをやることに集中すればいいということだ。
サンシャイン池崎である。流行ったのはいつか?3年前とかか?流行からは外れた感があるが、Amazonで検索すればすぐに衣装は見つかるし、ネタはアレンジしやすいし、何より大声を出すことが肝心で、大声を出して思いっきりやりさえすればなんとかなるようなネタではあるので、やりやすさはある。ただ、少しでも恥ずかしさを出して中途半端にやってしまうと、流行から外れたネタでもあるので、必ずスベる。空気が凍りつく。やるからには自分というものは捨てなくてはいけない。
 
先にヒゲダンス2人は出て、僕はそれを外で聞きながら待機していた。かなりウケている様子が伺えた。僕は控室と会場前の扉を行き来しながら、何度も頭の中でネタを反芻した。きっと頭が真っ白になってネタが飛ぶだろうと半分あきらめつつ。5分後、ヒゲダンスを終えた1人が僕を迎えにきた。僕は台車の上に乗って、ダンボールを被せられて、運ばれていった。台車とダンボールの隙間から明かりが入ってくる。ダンボールの外からは「おぉ」といった声が聞こえてきて、このダンボールの中身に期待を寄せているようだ。台車は止まり、ダンボールを2回叩かれる。出てこいという合図だ。「イェーイ」。そこから先は記憶があやふやである。
あやふやではあるが、最初の方で案の定セリフを忘れてしまい、変な間が空いてしまった。その間がよかったのだと思う。そのわずかな間で周囲を見渡し、温かい目で見てくれていることがわかった。その後は途中少し噛んだりもしたが、お決まりの貯金残高や暗証番号のくだりで新婚夫婦に絡むことができ、最後の「ジャスティス」までやりきることができた。嬉しかったのは、会場にいた子どもがとても喜んでくれたようで、その後、子どもが僕のところまで遊びに来てくれた。ネタが終わって完全にオフモードになってはいたが、横にいた友人に促されて「ジャスティス」と言うと、はにかんだ笑顔を見せてくれてとても可愛かった。新郎新婦はかなり驚きつつも喜んでくれたようだが、その子どもの笑顔を見てやって良かったと思った。おそらくは一生に一度の機会である、なんで僕がと思ったものだが、誘ってくれた友人には感謝しなければならない。
 
とにかく余興はもう終わった。この1ヶ月、ずっと余興が気がかりだったが、ようやく肩の荷が下りた。残りのゴールデンウィークはもうゆっくり過ごすだけだ。