Life Itself

生活そのもの

AirPodsで聴く坂本龍一の『async』

坂本龍一の『async』をiPhoneに入れて、今日初めて外で聴いた。

『async』は音がとてもキレイで、できればあまり雑音ない状態で聴きたいと思っていたから外で聴くことはないだろうと思っていたけれど、昨日John Mayerの『Room For Squares』をiPhoneに入れるついでに入れた。

今夜、ヨガが終わって教室からバス停まで15分ほど歩くあいだ『async』を聴いて、外を歩く時に聴く音楽として今までの音楽にはない印象を受けた。イヤホンは最近AirPodsを使用しているので、音楽を聴いていても外の音がかなり聞こえる。それがこのイヤホンの気に入っているところでもあり、たまに不満に思うところでもあるのだけれど、『async』を聴きながら、車が走る音や人の話す声、僕自身の足音などがいつものように同時に耳に入ってきた。いつもは音楽も外の音も同時に聴いているようで、どちらも聴いていないような散漫な状態となることも多いのだけれど、『async』の場合、外の音と混じり合うことで音楽がさらに際立つ印象を受けた。特に2曲目の「disintegration」は、外の音をウェルカム大歓迎状態で受け入れていて、外の音がもはや音楽の一部となっているかのようだった。

 

『async』を音響のいい環境で聴くべきだというのは単なる決めつけだった。部屋で聴くというのはあくまで聴き方の一つで、『async』はもっと色んな聴き方を試してみるべきだ。特に遮音性がないAirPodsとの相性は良い(あくまで個人的な意見だけれど)。終始緊張感が漂っているように感じるアルバムではあるけれど、小難しく考えない方がいい。好奇心を持って、環境を限定せずに色んな聴き方を試してみると、その分新たな発見をもたらしてくれる。それは『async』の音楽に対してだけでなく、外の音、今日で言えば車の音や人の話し声、自分の足音など普段は気に留めない音に対して、その音の豊かさ、初めて聴くような新鮮さを与えてくれる。

 

部屋で聴く時には集中して聴く。Lisiteningする。

外で聴く時には、外の音を含めて流れてくる音をただ受け入れる。聞き分けようとはしない。Listeningではなく、Beingの状態で。音楽が別の音を引き寄せる。

 

『async』は、もしかしたら音楽の聴き方を少し変えてくれるかもしれない。少なくとも今日の経験だけで、こう聴くべきだという固定概念を壊して、新たな聴き方を提示してくれた。『async』=非同期という意味らしいが、このアルバムはどのような環境とも同期はせずに、しかしノイズとして受け入れ、多様で複雑な音の世界を与えてくれる。

色んな場所で色んな聴き方をしてみたい。このような音楽は初めてだ。