Life Itself

生活そのもの

中身を覚えていないライブも記憶として残る

友人が途中ぶっ倒れたことでダイナソーJr.のライブのことをほとんど覚えていないと昨日書いたけれど、中身を覚えていないライブのことほど覚えている。覚えていないということを覚えている。ライブがどんな感じとかは全く覚えていないけれど、その場の雰囲気とか一緒に行った友人の表情とか、そのノリ方とか記憶にしっかりと残っている。
 
2007年のサマソニでのアークティック・モンキーズのライブもそうだ。当時のアークティック・モンキーズはセカンドアルバムが出たばかりの頃で、人気や勢いが凄まじかった。中学時代の友人が当時僕が住んでいた関西の家にまで泊まりにきて、一緒にサマソニに行った。その友人はアークティック・モンキーズを目当てにサマソニに行くことにしていたから、ヘッドライナーだったアークティック・モンキーズを前列で観るために、その前のカサビアンから前の方に行って、たしか5,6列目くらいで観ることができたんじゃないかと思う。しかし、2006年にファーストが出た直後から人気が沸騰してその勢いのままセカンドアルバムを出して、確か史上最年少でのヘッドライナーとして出演していた当時のアークティック・モンキーズは誰もが観たいミュージシャンで、ライブが始まるやモッシュでもみくちゃになってしまった。その後のことは一切覚えていない。友人も僕もモッシュの中で一緒になって暴れるタイプではなかったので、周りに押され、そして流され、5,6列目にいたのがどんどん後ろに行っていた。後ろに行ってもおとなしくなることはなくて、ライブが終わるまではずーっと誰かに押されていたように記憶している。そんなことは覚えているけれど、ライブのことは一切覚えていない。ライブが終わった後、会場を後にするために会場から駅に向かうためのバスに乗るために並んだのだが、その列が長かったこと、そして砂埃がすごかったこと。その並んでいた列で、バイト先が一緒だった今の妻と偶然出会い、また帰りの電車も一緒だった。その電車の同じ車両には妻の他、大学の友人も数人いて、知り合いだらけだった。ライブは覚えていないけれど、そんなことは今でもよく思い出す。
 
妻と一緒に行ったクラクソンズのライブも全く覚えていない。まだ付き合ってはいなかったが、デートらしい感じでクラクソンズのライブに一緒に行った。デートにクラクソンズというのも今考えるとどうかとは思うが、当時の共通の話題が音楽で、クラクソンズは人気があった。もともと僕はあまりクラクソンズの音楽が好きではなかったから(読んでいる人がいて好きな人がいたらゴメンナサイ)、ライブ自体もほとんど印象に残っていない。ボーカルか誰かが怪我をおしてライブしていたような記憶がある。ライブ会場自体の雰囲気が苦手で、それでもまだ付き合う前だったから無理して楽しいフリをしなくてはいけなくて。妻は楽しそうにしていて、途中から前の方に突っ込んでいった。どんなライブかは覚えいていないけれど、その雰囲気はよく覚えている。
 
ほんとうはライブが終わって、いい時間を過ごすことができたという意味で記憶に残るのがベストなんだろうが、すべてのライブがそうであるとは限らない。でも、自分にとっていいライブとは言えなくても、行ったことは体験として記憶に確実に残る。いいライブはもちろんその雰囲気やライブの感じ含めてよく覚えているが、ほとんど印象に残っていないライブも、行ったこと自体は楽しい思い出として残る。