Life Itself

生活そのもの

星野源『Pop Virus』ツアーファイナル

星野源『Pop Virus』ツアー最終日。
 
2012年のCircleで観て以来、急激に人気が出て、ツアーのチケットを取ることができず、フジロックに来ると思ったら仕事でその年のフジロックには参加できず、ほぼ7年ぶりに生で観る星野源となった。2012年は『夢の外へ』が発売された年で、このシングル以降、星野源は良い意味でポップ路線へ転換していき、その後ブラックミュージックのテイストを取り入れてさらに進化していった。この転換期以降の星野源を生で観るのは、今回が初めてだったから、とても楽しみにしていたライブだった。
 
幸運にも、アリーナ席の割と前の方で、ステージまでも肉眼でしっかりと観ることができる位置から観ることができた。ライブが始まって星野源が登場したのは、ステージではなく、座っていた座席の5メートルほど先の真横の位置。あまりの近さに驚いた。その後ステージの方で演奏したり、ステージから離れてスタンド席の近くでライブをしたり、全方向のお客さんが楽しむことができるように工夫されていて感心した。
 
ライブに関して言えば、7年前、そしてそれ以降もたびたびテレビなどで観てはいたが、以前と比べて歌が格段に上手くなっていた。ドームで反響しやすい環境ではあったが、終始安定してずっといい歌声だった。そして楽器隊。長岡亮介はペトロールズで何度も観たことはあったが相変わらず変態的にうまかったし、何より今回初めて生で観たハマ・オカモト。うそのはるおみ。生で聴くとあのグルーヴは身体を揺らす揺らす。伊賀航さんも大好きだが、ハマ・オカモトのあのグルーヴ感は癖になりそうだ。
 
今回のライブで一番印象に残ったのは『アイディア』だった。赤ん坊が産まれたのが7月5日で、それまで(そして産まれた後も)毎朝『半分、青い。』を観てこの曲を聴いていたから、この曲が流れてきたとき、赤ん坊が産まれるまでのことや産まれた当日のことなどを思い出して胸がこみ上げてきてしまった。楽曲自体が素晴らしいのは言うまでもないけれど、それ以上に、毎朝この曲を聴いていたこと、そしてそれがちょうど赤ん坊が産まれる前後の時期であったということは、僕が思っている以上に体験として体に刻まれていたのだ。7月5日当日、既に妻の陣痛が始まっていた朝に、僕は『半分、青い。』を観て病院に向かったのか、それとも観ずに行ったのだったか。今となっては覚えていないが、毎朝毎朝聴いていたから、出産当日のこともこの曲を聴いて思い出す。
 
赤ん坊が産まれる前後の時期を、『アイディア』と共に過ごすことができたということ、常に素晴らしい音楽がそばにあったことを、今日改めてありがたく感じた。