Life Itself

生活そのもの

平日昼間の高校生

さっき珈琲を淹れているときに懐かしい感覚が襲ってきて、珈琲を淹れながらもしばらくそれが何であるか考えを巡らせていた。今日、街に出ると、平日の午後2時ぐらいだったにもかかわらず、たくさんの高校生がいた。妻はちょうど中間試験の時期じゃない?と言っていてそのときは僕も納得したが、果たしてそうだったのだろうか。こんな時期に中間試験をするだろうか。珈琲を淹れる前に見ていたテレビ番組で高校生が出ていたことから、その午後のことについて思い出し、懐かしい感覚が高校生と関係があるような気がした。
 
そうだ、なぜもっと早く気がつかなかったのか、この時期は受験シーズンである。僕は受験シーズンの頃の自分を思い出していたのだ。母校の大学のホームページを見てみると、入試は明日とある。母校は関西にあるが、福岡にも入試会場があって、当時長崎の高校に通っていた僕は、前の晩からホテルに泊まって入試を受けた。おそらく僕の頃の入試も同じ時期だったと思うので、まだ18歳だった僕は、大きな不安と小さな自信と、そして期待を持って福岡にいたはずだ。思い出した。入試前日、博多駅近くのホテルに泊まった。たしか夕方ころにホテルに着いて、少し勉強したかは覚えていないけれど数時間ホテルでゆっくりして、お腹が空いたので外に出た。別にコンビニでよかったのだが、目についた吉野家に入った。しかし店の中で食べる気にはならず、持ち帰りができるはずだとは思っていたので、入ってキョロキョロと店内を見渡して、モゴモゴと小さな声で持ち帰りであることを伝えると、聞こえなかったのかもしくは持ち帰りをしていない店だったのか、怪訝な顔をされてそこで心が折れてしまった。「もういいです。」と言って店を出て、結局コンビニで買ってホテルで食べた。そのとき嫌な気持ちにはなったけれど、入試前日に幸先が悪いなぁなんてことは思わなかったと思う。入試以外のことはどうでも良かった。福岡にいたその日、すべてはとても強い指向性で翌日のためにあって、その他に起こった些細な出来事はすぐに抹消された。
 
今日見た高校生はとても希望に満ちた顔をしていた。リラックスした表情の高校生が多かった。僕個人的な記憶だが、入試1ヶ月前は追い込みで勉強して結構ピリピリしていたが、1週間を切るくらいになると、勉強は相変わらずしていたとは思うけれど、ピリピリした感じはなかったように思う。やれることはやって、あとは入試に臨むだけだった。入試のために福岡に行ったり東京に行ったりすることも楽しみだった。今日の高校生の表情はなんか良かったなぁ。彼らの表情で、数年前の自分のことを思い出したのだろう。