脳科学者の
茂木健一郎さん。
Twitterでもフォローしているし、たまに彼の出演しているテレビ番組を観ることはあるけれど、これまで彼の書いた本を読む機会がはなかった。フォローしているくらいだから、もちろん
Twitterで彼の文章には触れたことはある。でも、
Twitterではツイート数が結構多い印象で、ミーハーな話題についても積極的に発言していてスルーすることが多く、あまり真剣に読んだことがない。それに、いつかSwitchで頭を振りながら
尾崎豊を熱唱しているところを目にして、あ、この人かなり変だな、と完全に僕の中で彼のイメージが作り上げてしまった。一度作り上げたイメージというのは、すぐに自動化してしまうから、
茂木健一郎さんを見ると、あ、変な人だ、避けなければとと思ってしまう(いま改めて
Twitterを見てみると、
Tweetの数が特別多いわけではなかった。単なる印象だった)。
数日前、ある雑誌に彼の書いたエッセイの連載が載ってあった。気は乗らなかったけれど、その雑誌のトリのような形で一番最後のページだったし、他の人が書いた雑誌内のどの記事もすごく良かったから、読んでみることにした。「
子供の領分」のことと、
モーツァルトのことを書いた文章だった。あまりにも素晴らしく、読んでいて引き込まれる文章だった。文章を読んで
モーツァルトが聞きたくなった。こんな文章が僕は読みたく、そして書きたいのだと思った。もう絶版のようだったが、中古ではすぐに見つかったので、すぐにそのエッセイがまとめられた本を注文した。
Twitterではこんな素晴らしい文章を書く人だとはとても思えなかった。連載だから、
Twitterのように気軽に書かれた文章でないということも大きいと思うけれど、
茂木健一郎さんの文章は、ある程度の長さがなければわからないのかもしれない。僕が勝手に作り上げたイメージで、あんなにも素晴らしい文章を読む機会をなくしてしまうところだった。