Life Itself

生活そのもの

2017/11/18

毎日毎日細野さんの『Vu Ja De』を聴いているけれど、聴くたびに発見がある。

その時の気分や心の状態で、アルバムの中でいいと思う曲も変わるし、細野さんの唄声がよく聴こえてくることもあれば、それぞれの楽器、アコースティックギターやスティールギター、ベースなどが鮮明に聴こえてくることもある。細野さんの音楽は派手なギターソロや、その他楽器のソロがあるわけではないので、特にどの楽器の音に意識が向きやすいというこもなく(もちろん曲にもよるのだけれど)、それぞれの音がバランスよく聴こえる。それでも、何回も聴いていると、聴いている状態によってほんとに聴こえ方が違ってくる。意識が小さなところまで勝手に向くようになる。こんなところでこんな音鳴ってたっけ?とか。このドラムの音の跳ね方いいな、とか。またそれで曲が一層好きになる。CDプレイヤーで聴く時とイヤホン聴くときの聴こえ方にはもちろん違いがあって、イヤホンのときには耳に直接音が流れ込んでくるけれど、CDプレイヤーでスピーカーを通して聴くときには部屋の空間が大きく影響して、空気や部屋にある物を経由して、色んなところで跳ね返って吸収されて、それでも部屋の空間でいっぱいに広がりながら聴こえてくる。どちらも音楽を聴くという体験には違いないけれど、スピーカーを通して聴く方が、より聴こえ方に均一性がなくて好きだ。

 

音楽、特にPOPSの素晴らしいところは、この反復のしやすさだと思う。大体1曲3分くらい、長くても10分ないくらいだから、反復して聴くことに億劫さは生じない。音楽によっては飽きやすくて反復に堪えないものものもあるけれど、細野さんの音楽は短い曲も多いし、反復がしやすい。

同じ体験を何回も行うことは、ものによっては本当に気が狂いそうになるけれど、反復している中で何かが起こってきて、どこかで恍惚とした感覚になることがある。細野さんの音楽のような良質なものとなると、特にその感覚を味わいやすい。

本も何回も読めばいろいろな発見が出てきてより一層面白いのだけれど、なんせ1回読み切るまでに何日も時間がかかってしまうから、なかなか何回も繰り返し読むことができない。特にプルーストの『失われた時を求めて』くらいの長さになると反復というのは現実的ではない(それでも何回も読みたくなってくる魔力があの本にはあるんだけれど)。その点、音楽であれば、1日の中だけでも何回も反復できる。

 

細野さんの『Vu Ja De』は2枚組だが、1枚25分程度、2枚合わせて聴いても1時間もかからない。この手軽さよ。