Life Itself

生活そのもの

2017/11/12

実家の猫が重い糖尿病を患っていることが発覚して、毎日インシュリンを打たなければならなくなった。

餌を全く食べなくなって水ばかり飲んでいたことを母がおかしいこと思い、病院連れて行ったところ命に関わるほど糖尿病の症状が進行していたらしく、急遽1週間ほど入院することになった。

 

入院後、パール(猫の名前)は体重を2キロも落として、げっそりとしていたそうだ。退院してから1週間してからは原因不明の血尿が出たりして、それはいま薬で抑えることができているそうだが、トイレに朝の4時から3時間もトイレに座ってしかも砂を引っ掻き出すものだから母はあまり寝ることができず、僕が電話をしたときにはその声色に疲れがにじみ出ていた。パールも母も相当ストレスが溜まっているようだった。

パールはようやく落ち着いて、まだげっそりとはしているが、すりすりと寄ってくるようになったと今日連絡を受けた。

 

入院中もパールは獣医さんから毎日インシュリンを打たれていて、多くの猫はインシュリンを打たれることを嫌がって暴れるそうだが、パールは嫌がる素振りを見せずじっとして打たれていたらしく、先生も大変驚いていたと父から聞いた。パールは昔からそういう猫だ。心優しく、繊細で人に気遣いをする。

 

飼い始めた当初から、パールは母と一緒にベッドで寝ているが、たとえ朝に母より先に起きても母が起きるまで動くことはせずにじっと待っていて、母が起きると同時に自分も動き出すらしい。僕も昼前まで寝ることがあってもパールから起こされたことはない。飼う前にどこかで学んだのか、そういう気質なのか、昔からじっと待つ猫だった。

 

ただ、愛想がいい方ではなく、触られることや抱っこされることを嫌がるし、前に飼っていた猫と比べても寄ってくることが少ない。知らない人間が家に上がると姿を見せることはほとんどなくて、僕の妻が実家に泊まった時には姿こそ見せたものの、家の白い壁に向かって座って背中を見せ、顔を合わせようとなかかなかしなかった。とても人見知りで繊細で、ストレスをためやすいのかもしれない。

一度家の2階のベランダにネズミが出たときは、その足音や鳴き声にひどく警戒して、1階から音の鳴る方をじっと見上げていた。猫なのにネズミが出て喜ぶといった素振りは全く見せず、むしろその逆だった。一晩中一階からネズミがいる辺りを見上げていて、足音や鳴き声が鳴るたびにビクビクしていた。 

 

パールは昔から母が家をしばらく空けるとストレスからか具合が悪くなる。尿が出なくなったり、尿管結石になったり。膀胱に何らかの症状が出ることが多くて、2歳くらいに最初の病気をしてからは糖分が少ない餌しか与えていなかった。ストレスに弱く、体も強くないと分かっていたので、結構頻繁に病院に連れて行っていた。それにも関わらず糖尿病になって、母も非常にショックだったようだ。

 

これからは毎日血糖値を測って、インシュリンを打たなければならない。どうしてあんなに心優しいパールが、と思うけれども、病気とわかったからには上手く付き合っていくしかない。すぐにでも実家に帰ってパールの顔を見たいところだけれど、正月まで待ってくれと言われた。今はパールのことを想い続けて、正月には優しく頭やお腹を撫でることができればと思う。僕にできることはそれくらいしかない。